非エンジニアの方との会話で起きがちな認識ズレ―― 同じ言葉を使っているのに違う話をしている瞬間
業務の中で、非エンジニアの方とITの話をしていると、
会話自体は成立しているのに、
後から「話が噛み合っていなかった」と気づくことがあります。
多くの場合、原因は専門知識の差ではありません。
同じ言葉を使いながら、頭の中で想像しているものが違うことにあります。
実際には、人や状況によって少しずつズレ方が変わる場合も多くありますが、
ここでは、そうした認識ズレが起きやすい言葉をいくつか紹介します。
仕様
会話の表面
- 「この仕様、こうしたいんです」
- 「仕様通りにお願いします」
起きている認識ズレ
- 非エンジニアの方の「仕様」
→ こうなってほしい状態・完成イメージ - エンジニア側の「仕様」
→ すでに決まっている振る舞いの定義
どちらも間違っているわけではありませんが、
このズレを放置すると
「もう決まっている話」なのか
「これから決める話」なのかが曖昧なまま進んでしまいます。
バグ
会話の表面
- 「これ、バグじゃないですか?」
- 「前と動きが違います」
起きている認識ズレ
- 非エンジニアの方
→ 期待していた動きと違う - エンジニア側
→ 決められた動作を満たしていない
結果として、
「直すべき問題」なのか
「認識を揃えるべき問題」なのかが混ざったまま話が進みます。
システムに関する質問に対する「仕様通りです」という回答も、
エンジニア側としては「意図的な挙動です」という意味で使いますが、
「直す気はありません」というニュアンスだと受け取られることもあるので注意です。
確認しました
会話の表面
- 「一通り確認しました」
- 「確認したので大丈夫です」
起きている認識ズレ
- 非エンジニアの方
→ 想定した操作を試した - エンジニア側
→ 条件や例外も含めて見た
確認という言葉が、「何をどこまで見たのか」を内包したまま使われるため、
同じ「確認済み」でも中身がまったく違うことがあります。
ちょっとした修正
会話の表面
- 「文言を少し変えるだけです」
- 「見た目はほとんど変わらないちょっとした修正なので」
起きている認識ズレ
- 非エンジニアの方
→ 画面上の変化が小さい - エンジニア側
→ 影響範囲がどこまで及ぶか
→ 前提条件が複雑ではないか
→ テストパターンが多いのではないか
「少し」という言葉が、見た目の話なのか、作業量の話なのかが曖昧なまま使われます。
できる
会話の表面
- 「それ、できますよね?」
- 「できるならお願いします」
起きている認識ズレ
- 非エンジニアの方
→ 現実的にすぐ対応できるか - エンジニア側
→ 技術的に実現可能か
どちらも「できる」ですが、
時間・優先度・作業量という前提が共有されていないまま、話が次の段階に進みがちです。
前と同じ
会話の表面
- 「前と同じ対応でお願いします」
- 「前回もこれでいけました」
起きている認識ズレ
- 非エンジニアの方
→ 結果や見た目が同じ - エンジニア側
→ 条件・前提・内部処理が同じ
「同じ」が何を指しているのかが共有されないまま、安心材料として使われてしまう言葉です。
対応します
会話の表面
- 「これから対応します」
実際にズレている点
- 非エンジニアの方
→ 完了まで含めて引き受けた - エンジニア側
→ 調査・検討を始める
「対応」という言葉が着手なのか、完了なのかを曖昧にしたまま使われやすい代表例です。
難しい
会話の表面
- 「対応するのは難しいです」
起きている認識ズレ
- 非エンジニアの方
→ 技術的にやや手間がかかりそう - エンジニア側
→ 工数・影響・リスクを含めると現実的ではない
「難しい」という言葉が、努力の話なのか、現実性の話なのかが共有されないまま使われます。
例外
会話の表面
- 「例外的なケースです」
起きている認識ズレ
- 非エンジニアの方
→ めったに発生しない特殊ケース - エンジニア側
→ 条件次第で普通に起きる
「例外」が頻度の話なのか、条件分岐の話なのかで認識がズレます。
影響調査
会話の表面
- 「影響調査だけお願いできますか?」
- 「先に調査だけしてもらえれば」
起きている認識ズレ
- 非エンジニアの方
→ 簡単な確認作業 - エンジニア側
→ 実装・運用などを考慮した作業そのもの
「調査」という言葉が、確認なのか 作業なのかを曖昧にします。
想定内
会話の表面
- 「想定内の動作です」
- 「想定していた動きです」
起きている認識ズレ
- 非エンジニアの方
→ 問題がない、気にしなくてよい - エンジニア側
→ 起きる可能性は把握していた
「想定内」は許容しているという意味ではない場合があります。
認識ズレは、誰かのミスではない
これらのズレは、会話の適当さや理解力が低いことで起きるものではありません。
- お互い善意
- お互い忙しい
- お互い悪気はない
という状況で、一番起きやすいタイプのトラブルです。
立場や役割が違えば、同じ言葉に自然と別の意味が乗ります。
だからこそ、
- 「その言葉、どの意味で使っていますか?」
- 「今の話はイメージの話ですか?確定の話ですか?」
と一度立ち止まるだけで、後工程のズレをかなり減らすことができます。
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