「画像生成AI」はどこまで映画を再現できる?PhotoshopとChatGPTで同じプロンプトを試してみた!
以前、Illustratorの「ベクター生成AI」を使って、『有名映画をタイトルや固有名詞を使わずに、どこまで再現できるのか?』という検証を行いました。
▽前回の記事はこちら▽
「ベクター生成AI」がどこまで優秀か試してみた!~有名映画タイトル編②~
前回は、映画のタイトルや固有名詞を使わず、
- ストーリー
- 世界観
- 登場人物
- 色
- シチュエーション
などを文章にして、Illustratorのベクター生成AIに画像を作らせてみました。
その結果、怪獣や宇宙、災害などの分かりやすいモチーフはかなり得意な一方で、人物の感情や動き、繊細な空気感、構図の整理などにはまだ難しさがあることが分かりました。
そこで今回は、さらに一歩進めてみます。
PhotoshopとChatGPT、同じプロンプトならどうなる?
今回試してみるのは、
Adobe Photoshopの画像生成AI
そして、
ChatGPTの画像生成
の2つ。
同じ映画を題材にして、できるだけ同じ内容のプロンプトをそのまま入力します。
もちろん今回も、映画タイトルや作品名などの固有名詞は使いません。
果たして、同じ文章から生成した場合でも、PhotoshopとChatGPTでどのような違いが出るのでしょうか?
今回は「どちらが勝ち!」という単純な比較ではなく、
それぞれのAIが、文章からどんな映像をイメージしているのか?
という部分に注目して比較してみたいと思います。
今回の検証方法
今回用意したのは、前回の記事でも使用した9つの映画ジャンル。
① 巨大怪獣映画
② 海洋パニック映画
③ 宇宙SF戦争映画
④ 隕石パニック映画
⑤ スポーツサクセス映画
⑥ ミュージカル映画
⑦ 海賊アドベンチャー映画
⑧ 魔法ファンタジー映画
⑨ 日本の人気刑事ドラマ映画
それぞれについて、映画タイトルを使わずに内容を文章化したプロンプトを用意し、
同じプロンプトをPhotoshopとChatGPTに入力して、生成された画像を比較してみます。
検証結果
検証① 某巨大怪獣映画
まずは定番の「巨大怪獣映画」。
前回の記事では、
海から現れた巨大な怪獣が都市を襲うパニック映画のイメージ。
という、かなりシンプルなプロンプトでした。
今回はもう少し具体的に、
海から姿を現した巨大な怪獣と大都市を描いたパニック映画のイメージ。
海岸線の向こうに巨大な怪獣がそびえ立ち、高層ビル群が広がる近未来的な都市。
街には煙や粉塵が漂い、遠くに赤い光や火災の明かりが見える。
巨大な存在と小さな都市の対比を強調した、圧倒的なスケール感。
暗い空と赤橙色の光を基調とした、緊迫感のあるドラマチックな構図。
という内容にしました。
狙いは、前回と同じく「巨大怪獣+都市+赤い光」という分かりやすい記号を残すこと。
▼Photoshopでの生成結果▼

▼ChatGPTでの生成結果▼

比較すると…
どちらも「巨大な怪獣が都市を背景に立っている」という、非常に分かりやすいビジュアルになりました。
Photoshopは、怪獣そのものの造形や煙、炎などのディテールを作り込む方向が強く、かなり細かな質感まで表現されています。一方、ChatGPTは「巨大な存在」と「小さな都市」の対比が分かりやすく、一枚の映画のワンシーンとして見せる構図になっています。
同じ「巨大怪獣」というテーマでも、
- Photoshop → モンスターの造形・質感
- ChatGPT → シーン全体の構成
という違いが感じられました。
検証② 某海洋パニック映画
次は海洋パニック映画。
前回の記事でも、ここはAIにとって難しいテーマでした。
「巨大な生物がいる」と直接描くのではなく、見えない恐怖をどう表現するかがポイントです。
今回のプロンプトはこちら。
海辺のリゾート地を舞台にした海洋パニック映画のイメージ。
美しい砂浜と青い海の中に、人々が楽しむ海水浴場が広がっている。
水面の下には巨大な危険な生物の存在を感じさせる大きな影が潜んでいる。
穏やかで美しい海と、水中に潜む見えない恐怖との対比。
青と白を基調とした冷たい色彩と、静かな緊張感を感じさせる構図。
ここで見たいのは、「巨大生物を直接描く」のではなく、“見えない恐怖”を描けるか?という部分です。
▼Photoshopでの生成結果▼

▼ChatGPTでの生成結果▼

比較すると…
Photoshopは、水面下の巨大な影によって「何かが潜んでいる」という状況をかなりストレートに表現。
一方、ChatGPTは水面の上と下を同時に見せることで、「リゾート地の平穏」と「水中の危険」を一つの画面にまとめる方向に解釈しています。
どちらも「巨大生物そのもの」を見せるのではなく、影や水中の存在感によって恐怖を表現しているのが面白いところ。
ただし、やはり「見えないものへの恐怖」という非常に抽象的な部分は、単純な「怪獣」などと比べると表現の難易度が高そうです。
検証③ 某宇宙SF戦争映画
続いては宇宙SF戦争映画。
元記事でも「壮大さは出るものの、要素が多くなると構図が散らかりやすい」という結果になったテーマです。
今回のプロンプトはこちら。
銀河を舞台にした壮大なSF戦争映画のイメージ。
広大な宇宙空間に巨大な宇宙船が複数浮かび、遠くに無数の星々が輝いている。
画面中央には光る武器を持った人物が立ち、対峙する二つの勢力を感じさせる構図。
宇宙船、星空、人物、光る武器によって壮大な物語性を表現。
黒と深い青を基調とし、白や青の光が印象的に輝くドラマチックな構図。
比較したいポイントは、
- 世界観
- スケール
- 人物の配置
- 複数の要素をどう整理するか
- 「善と悪」の対立をどう表現するか
です。
▼Photoshopでの生成結果▼

▼ChatGPTでの生成結果

比較すると…
Photoshopは、宇宙船や人物、光る武器など、プロンプトに含まれている要素をしっかり拾っている印象。ChatGPTも巨大な宇宙船や人物を配置し、映画ポスターのようなドラマチックな画面に仕上げています。
どちらも「SF戦争映画」というジャンルはかなり分かりやすい。
一方で、これだけ要素が多いプロンプトになると、どちらも情報量が多くなりやすく、「結局、一番見せたいものは何なのか?」という構図設計の難しさも見えてきます。
検証④ 某隕石パニック映画
次は隕石パニック映画。
今回のプロンプトは、
地球に迫る巨大な隕石の危機を描いたSFパニック映画のイメージ。
宇宙空間から巨大な隕石が青い地球へ接近している。
地球の一部には夜の都市が広がり、隕石から強烈な光が差し込んでいる。
宇宙、地球、隕石を一つの画面に収めた壮大なスケール感。
暗い宇宙空間と青い地球、オレンジ色の光を対比させたドラマチックな構図。
危機感の中にも未来への希望を感じさせる映画的なビジュアル。
ここでは特に、
「宇宙」「地球」「隕石」という複数の情報を、1枚の絵としてどうまとめるか
に注目しました。
▼Photoshopでの生成結果▼

▼ChatGPTでの生成結果▼

比較すると…
Photoshopは非常に映画ポスターらしい、派手でインパクトのあるビジュアルに。
一方、ChatGPTは地球・隕石・夜の都市という関係性が比較的分かりやすく、「今まさに地球へ隕石が迫っている」という状況を一枚で説明する構成になっています。
ただ、今回のプロンプトに含めた「希望」という感情まで考えると、これはやはり難しいところ。
「危機感」や「巨大な隕石」は視覚化しやすい一方で、「危機の中にある希望」という抽象的な感情を、画像だけで表現するのは簡単ではありません。
検証⑤ 某スポーツサクセス映画
個人的に今回かなり注目していたのが、このテーマ。
前回のベクター生成AIでは、テーマは伝わるものの「泥臭さ」や「人間味」が弱いという結果でした。
今回はこちら。
無名のボクサーが努力を重ねて成功を目指すスポーツドラマ映画のイメージ。
古いボクシングジムで一人の若いボクサーが激しいトレーニングをしている。
汗に濡れた顔、傷んだグローブ、使い込まれたトレーニング器具。
背景には暗いジムと小さな窓から差し込む朝の光。
厳しい環境の中で努力を続ける姿と、未来への希望を感じさせる構図。
暗い青や黒を基調に、人物を照らす暖かな光が印象的な映画的表現。
ここでは、単純な「ボクサー」ではなく、
- 古いジム
- 汗
- 傷んだグローブ
- 朝の光
- 努力
- 希望
など、人間ドラマを感じさせる要素をかなり細かく入れています。
▼Photoshopでの生成結果▼

▼ChatGPTでの生成結果▼

比較すると…
Photoshopは、汗やトレーニング器具など、「ボクサーがトレーニングしている」という状況を視覚的にしっかり作るのが得意です。
ChatGPTは暗いジムの中に人物を置き、光の当たり方なども含めて「これから成功を目指す主人公のワンシーン」というストーリー性を感じさせます。
前回の記事では「人間ドラマはまだ弱い」という結果でしたが、今回の画像生成では、こうしたストーリー性のある指示に対してもかなりそれらしい画が作れることが分かりました。
検証⑥ 某ミュージカル映画
続いてはミュージカル映画。
前回は「色や明るさは良いものの、動きのあるポーズや躍動感が弱い」という結果でした。
今回は、
若者たちが歌い踊る明るく楽しいミュージカル映画のイメージ。
カラフルな街並みの広場で、若い男女が音楽に合わせて楽しそうに踊っている。
複数の人物が躍動感のあるポーズで動き、街全体が舞台のように見える。
明るい空とカラフルな建物、華やかな衣装。
ピンク、黄色、水色、オレンジなどのパステルカラーを中心とした明るい配色。
楽しさ、青春、自由、躍動感が伝わる映画的な構図。
というプロンプトにしました。
ここではズバリ、人物のポーズと躍動感がポイント。
▼Photoshopでの生成結果▼

▼ChatGPTでの生成結果▼

比較すると…
Photoshopはカラフルな街並みや衣装など、ミュージカルらしい華やかな世界観を作るのが得意です。
一方、ChatGPTは中央に人物を配置して、男女が踊っていることが分かりやすい構図に。
特に人物同士の位置関係によって、「ただ人物が立っている」のではなく、一つのダンスシーンとして見せようとしているのが印象的でした。
一方で、複数人のポーズを同時に指定すると、どうしても動きが不自然になったり、人物同士の関係性が曖昧になったりする部分も。
人物の「動き」は、やはり画像生成AIにとって難しいポイントの一つなのかもしれません。
検証⑦ 某海賊アドベンチャー映画
続いては海賊映画。
これはかなり「キーワード」がはっきりしているテーマです。
大海原を舞台にした海賊の冒険映画のイメージ。
巨大な木造帆船が荒々しい海を進み、船の甲板には海賊たちが立っている。
船には古びた帆が張られ、甲板には宝箱や地図などの冒険を感じさせる道具が置かれている。
遠くには険しい島と荒れた雲が見える。
自由で荒々しい雰囲気と、未知の海へ旅立つロマンを感じさせる構図。
夕焼けのオレンジと深い青を基調としたドラマチックな色彩。
▼Photoshopでの生成結果▼

▼ChatGPTでの生成結果▼

比較すると…
これはかなり分かりやすい結果になりました。
Photoshop、ChatGPTともに、「海賊」「帆船」「荒れる海」「夕焼け」というキーワードをしっかり拾っています。
Photoshopは巨大な帆船や海の描写が印象的で、ビジュアルそのものの作り込みが強い。
一方、ChatGPTは船の上の人物を目立たせることで、「これから冒険へ向かう主人公たち」という物語性を感じさせます。
どちらもかなり「海賊映画らしい」画像になりました。
こうして見ると、AI画像生成では、誰もが共通してイメージできるキーワードが多いテーマほど、安定してそれらしい結果を出しやすいのかもしれません。
検証⑧ 某魔法ファンタジー映画
次は魔法ファンタジー。
今回のプロンプトはこちら。
魔法を学ぶ学校を舞台にしたダークファンタジー映画のイメージ。
巨大で古い石造りの学校の建物が夜の霧の中にそびえ立っている。
ローブを着た若い学生たちが建物の中庭に集まり、それぞれの手から神秘的な光が生まれている。
古い石壁、塔、階段、浮かぶ光などが幻想的な世界観を作り出している。
深い青、黒、紫を基調とした暗い色彩。
神秘的で少し不気味、それでいて美しい映画的な構図。
ポイントは、「よくあるファンタジー」からどこまで具体的な世界を作れるか。
▼Photoshopでの生成結果▼

▼ChatGPTでの生成結果▼

比較すると…
Photoshopは、古い建物、ローブ、魔法の光、青や紫の色合いなど、指定した要素をしっかりと取り込んでいます。
ChatGPTは、中央に人物を配置し、その背後に大きな城や学校を見せることで、
「魔法学校で学生たちが何かを学んでいる」
という状況がより伝わりやすい構成になりました。
一方で、どちらも「魔法ファンタジー」というジャンル自体は表現できているものの、プロンプトだけではどうしても既視感のあるファンタジー世界になりやすい。
ここは前回の記事で感じた「設定の具体性」という課題ともつながっているように感じます。
検証⑨ 某日本の人気刑事ドラマ映画
最後は、今回の中でもかなり難しいテーマ。
前回の記事でも、リアル系の刑事ドラマは「都会感や事件っぽさは出るものの、具体的なシーンの説得力が弱い」という結果でした。
今回はこちら。
都会を舞台にした日本の刑事ドラマ映画のイメージ。
夜の大都市を背景に、複数の刑事が緊迫した事件の捜査を行っている。
大きな橋と都市高速道路、高層ビル群が背景に広がっている。
道路にはパトカーの赤色灯が輝き、刑事たちが事件現場へ急いでいる。
都会的でスタイリッシュな映像と、緊張感のある捜査ドラマの雰囲気。
夜の青とパトカーの赤い光を対比させた、スピード感のある映画的な構図。
ここで見たいのは、日本の刑事ドラマらしい空気感までAIが読み取れるのか?というところです。
▼Photoshopでの生成結果▼

▼ChatGPTでの生成結果▼

比較すると…
Photoshopは、夜の都市、高層ビル、橋、パトカーなど、刑事ドラマを連想させる舞台装置をしっかりと作っています。
ChatGPTは刑事を画面の手前に大きく配置し、パトカーや事件現場を組み合わせることで、「今まさに事件が起きている」という動きのあるシーンに。
このあたりは、今回の比較の中でも特に面白いところでした。
Photoshopは「刑事ドラマらしい画面」を作り、ChatGPTは「刑事ドラマのワンシーン」を作る。
そんな違いが感じられます。
PhotoshopとChatGPT、それぞれの特徴
今回の画像を見比べて感じた特徴をまとめると、こんな感じです。
Photoshopの印象
●得意そうなところ
- 指定したモチーフを忠実に拾う
- 質感やディテールを作り込む
- 光や色を使った映画的な演出
- 写真・映像作品のようなリアリティ
- 一枚のビジュアルとしての完成度
特に「何を描いてほしいのか」が明確な場合は、かなり安定しています。
怪獣、宇宙船、帆船、建物など、具体的な物体を組み合わせてビジュアルを作ることはかなり得意そうです。
●苦手そうなところ
指定した要素をしっかり入れてくれる反面、
「全部入れた結果、少し情報過多になる」ようなケースもあります。
また、映画ポスターのような派手なビジュアルに寄りやすく、プロンプトにはない文字などが入ってしまうケースもありました。
ChatGPTの印象
●得意そうなところ
- プロンプト全体から状況を読み取る
- 人物と背景を組み合わせる
- 「何が起きているのか」を感じさせる構図
- ストーリー性のあるシーン作り
- 主役・背景などの情報を整理する
特に今回感じたのが、
「文章を読んで、その場面を想像している」ような画像になること。
もちろん実際に人間のように映画を理解しているわけではありませんが、複数の要素を組み合わせて、一つのシーンとしてまとめる方向が強いように感じました。
●苦手そうなところ
一方ChatGPTは、ストーリー性のある画面を作るのが面白い反面、
「こちらが指定していない要素まで解釈して追加する」ことがあります。
また、人物の細かなポーズや複数人物の関係性などは、まだ難しさを感じます。
まとめ
前回のIllustrator「ベクター生成AI」の検証では、
「連想して広げる力」には優れているが、「意図してまとめる力」はまだ弱い
という結論になりました。
一方で、PhotoshopとChatGPTといった画像生成AIでは、単純に「物を描く」だけではなく、
文章から一つのシーンを組み立てる
という能力がかなり高くなっています。
Photoshopは、モチーフや質感、光・色などのビジュアル表現。
ChatGPTは、人物や背景、状況などを組み合わせたシーン・ストーリーの構築。
同じ生成AIでも、使うツールによって結果や考え方が変わってくるのが面白いところです。
今後もいろいろな生成AIを実際に触りながら、
「デザイン業務では、どこまでAIに任せられるのか?」を引き続き検証していきたいと思います。
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