タイガーラック クリエイティブブログ
2026
February
26

モノづくりの人とモノを売る人は知っておくべき「権利」の話

商品開発からWeb制作まで、創る人のための基礎教養

商品をつくる。
ブランドを立ち上げる。
Webサイトやアプリを公開する。

どんな形であれ、モノづくりは「表現」を社会に出す行為です。

そして表現には、必ず“権利”が伴います。

商品開発からWeb制作まで携わる企業・クリエイターが知っておくべき、
また「どれがどうだっけ?」と混同しごっちゃになりやすい

  • 商標権
  • 著作権
  • 肖像権

について整理・解説します。

3大権利の定義・性質の比較

保護の対象発生時期目的・性質
商標権ブランド名/商品名/ロゴ/マーク特許庁への登録ビジネスの信用とブランドを守る
著作権絵/文/写真/デザイン等表現した瞬間(自動)創作の努力と証を守る
肖像権人の容姿/姿(画像・動画)生まれ持った権利プライバシーを守る

商標権【ブランドと商品名を守る】

商標とは

商標とは、商品やサービスを他社と区別するための名称やマークです。
特許庁へ申請・登録必要で、最低限の審査があるものの原則、早い者勝ちです。

保護できるもの

  • 商品名
  • サービス名
  • ロゴ
  • ブランド名 など

商標権取得のメリット

  • 独占的に使用できる(競合他社の使用を排除)
  • 模倣品を排除できる(差止請求・損害賠償の強力な根拠)
  • ブランド資産(信用)の蓄積(安心して投資できる)
  • ライセンスビジネスが可能(使用許諾による収益化)

商標侵害が成立する主な条件

  • 登録商標であること
  • 同一または類似の区分(業種)で使用していること
  • 商標が類似していること
  • 事業として使用していること

「少し違うから大丈夫」は危険です。

たとえば Apple Inc. は、
当初「iWatch」という名称を検討していましたが、既存商標との関係で最終的に「Apple Watch」として展開しました。

ブランド設計段階での商標調査は、商品開発における基本動作です。

著作権【作者の名誉や表現、利益を守る】

著作権とは

創作した瞬間に自動で発生し、作り手(著作者)の心や利益を守ります。

保護できるもの

  • パッケージデザイン
  • Webデザイン
  • アプリUI
  • コピーライティング
  • イラスト
  • 動画
  • 写真
  • プログラムコード など、全ての著作物

著作権侵害が成立する主な条件

  • 創作性がある
  • 依拠性(参考にしている)
  • 表現が類似している

※アイデア自体ではなく、「独自性・独創性のある具体的な表現」が守られます。

よくあるトラブル

  • 競合サイトの構成を踏襲
  • 他社商品のパッケージと酷似
  • LP文章の流用 など

「参考にしただけ」は安全とは限りません。

プログラム(コード)の著作権

HTML・CSS・JavaScript・アプリケーションコードなども
「プログラムの著作物」として保護されます。

守られるのは主に「ソースコードの記述」や「構造的表現」等が挙げられ
機能やアイデアそのものではありません。

「ライセンス」について

  • フリー素材
  • テンプレート
  • オープンソースソフトウェア

これらには必ず利用条件(ライセンス)があります。
つまり「無料=自由」ではありません。

商用利用可否、改変可否、再配布制限などを確認せずに使うと、
著作権侵害になる可能性があります。

AI生成物と著作権の注意点

生成AIで作った画像や文章については、
人の創作的関与がない場合、原則として著作権は発生しないと考えられています。

つまり、

  • 自社が独占できるとは限らない
  • 他者も似たものを使える可能性がある

という前提があります。

ただし、ここで別のリスクもあります。
AIはインターネット上の膨大な情報を学習していますが、
どの情報をどのように参照しているかはブラックボックスです。

そのため、

  • 既存作品に類似していないか
  • 実在人物に似ていないか(肖像権)
  • 商標やキャラクターに類似していないか

といった確認が必要です。

「AIが作ったから安全」とは限りません。
できるだけそのままの使用は避け、
人間による編集・加工などの工程をはさみ独自性を高めることで、リスクは下げられます。

AIは便利な道具ですが、日々進化している反面、法整備が追い付いていないのも事実。
最終責任を負うのは利用する側です。

外注制作と著作権の帰属

デザインや開発を外部に委託した場合、
契約で著作権譲渡が明記されていなければ、原則として制作者に帰属します。

帰属が曖昧なままでは、

  • 改修できない
  • 再利用できない
  • 二次展開できない

といった経営リスクにつながります。

肖像権【個人のプライバシーを守る】

肖像権とは

自分の顔や姿を無断で撮影・公開・使用されない権利です。

保護できるもの

  • 全ての人の顔と姿

肖像権侵害が成立する主な条件

  • 個人が特定できるか(解像度・サイズ)
  • 撮影場所(自宅内か、公道か)
  • 撮影・利用の目的(報道か、営利か)

街中で撮影した写真でも、特定可能な状態の人物が写っていれば
広告利用には本人の許諾が必要な場合があります。

制作において注意が必要な場面

  • 制作物に人物写真を使う場合、必ず書面での許諾を得るのが原則。(屋外撮影時は要注意)
  • フリー素材であっても規約の確認は必要。(著作権についても同様)
  • AI生成による人物画像についても、そのままの使用は危険。

※「撮れた」ではなく「使ってよいか」が重要です。

トラブル回避のための対策

「こんなんじゃ怖くて何も作れない…」と委縮してしまいそうな人のために
最低限ここだけでもおさえておくべきポイントをまとめました。

ポイントは大きく3つ。

商標はきっちり確認

ロゴや商品案を出す前にまずは特許庁HP等で類似商標がないか?を必ずセルフ検索を。
加えてgoogle検索でも類似品チェックまでやっておけばさらに安心。

規約は読み込め!

「フリー」だからといって全て自由というわけではなく
有償で購入したからといってなんでもありというわけでもない。
都度、利用規約を読むのはマスト。

③許諾の徹底!

特定可能な人物画像等を使うときはモデルリリース(使用許諾書)や契約書の有無を確認。
不安な時は勝手に判断しない。


「クライアントがOKと言った」
「皆使ってる」
「参考にしただけ」
「ネットで拾った」

これらは全て法的には無意味な言い訳。

最悪の事態にならぬよう
対策はしすぎておいて損はありません。


「知らなかった」では済まされない事にもなりかねないので
日頃から意識を高めておきましょう。

まとめ

商品開発も、Web制作も、ブランド構築も。
それはすべて「表現」を社会に出す仕事です。

その表現を支えるのが、

  • 商標権
  • 著作権
  • 肖像権

という三本柱。

AI時代においても、この構造自体は変わりません。

ルールを理解することは、創造性を制限することではありません。
むしろ、安心して挑戦するための前提条件です。

モノづくりや商品販売に関わるすべての人にとって、
権利リテラシーは「専門知識」ではなく
おさえておくべき「基礎知識」。

一見「ややこしそう、難しそう…」と敬遠されがちですが
見方を変え、付き合い方によっては
大切な創作物や作者の名誉を
悪用から守ってくれる頼もしい味方になります

安全な創作活動のためにも
権利とは何か?知っておいて損はありませんよ。

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