モノづくりの人とモノを売る人は知っておくべき「権利」の話
目次
商品開発からWeb制作まで、創る人のための基礎教養
商品をつくる。
ブランドを立ち上げる。
Webサイトやアプリを公開する。
どんな形であれ、モノづくりは「表現」を社会に出す行為です。
そして表現には、必ず“権利”が伴います。
商品開発からWeb制作まで携わる企業・クリエイターが知っておくべき、
また「どれがどうだっけ?」と混同しごっちゃになりやすい
- 商標権
- 著作権
- 肖像権
について整理・解説します。
3大権利の定義・性質の比較
| 保護の対象 | 発生時期 | 目的・性質 | |
| 商標権 | ブランド名/商品名/ロゴ/マーク | 特許庁への登録 | ビジネスの信用とブランドを守る |
| 著作権 | 絵/文/写真/デザイン等 | 表現した瞬間(自動) | 創作の努力と証を守る |
| 肖像権 | 人の容姿/姿(画像・動画) | 生まれ持った権利 | プライバシーを守る |
商標権【ブランドと商品名を守る】
商標とは
商標とは、商品やサービスを他社と区別するための名称やマークです。
特許庁へ申請・登録必要で、最低限の審査があるものの原則、早い者勝ちです。
保護できるもの
- 商品名
- サービス名
- ロゴ
- ブランド名 など
商標権取得のメリット
- 独占的に使用できる(競合他社の使用を排除)
- 模倣品を排除できる(差止請求・損害賠償の強力な根拠)
- ブランド資産(信用)の蓄積(安心して投資できる)
- ライセンスビジネスが可能(使用許諾による収益化)
商標侵害が成立する主な条件
- 登録商標であること
- 同一または類似の区分(業種)で使用していること
- 商標が類似していること
- 事業として使用していること
「少し違うから大丈夫」は危険です。
たとえば Apple Inc. は、
当初「iWatch」という名称を検討していましたが、既存商標との関係で最終的に「Apple Watch」として展開しました。
ブランド設計段階での商標調査は、商品開発における基本動作です。
著作権【作者の名誉や表現、利益を守る】
著作権とは
創作した瞬間に自動で発生し、作り手(著作者)の心や利益を守ります。
保護できるもの
- パッケージデザイン
- Webデザイン
- アプリUI
- コピーライティング
- イラスト
- 動画
- 写真
- プログラムコード など、全ての著作物
著作権侵害が成立する主な条件
- 創作性がある
- 依拠性(参考にしている)
- 表現が類似している
※アイデア自体ではなく、「独自性・独創性のある具体的な表現」が守られます。
よくあるトラブル
- 競合サイトの構成を踏襲
- 他社商品のパッケージと酷似
- LP文章の流用 など
「参考にしただけ」は安全とは限りません。
プログラム(コード)の著作権
HTML・CSS・JavaScript・アプリケーションコードなども
「プログラムの著作物」として保護されます。
守られるのは主に「ソースコードの記述」や「構造的表現」等が挙げられ
機能やアイデアそのものではありません。
「ライセンス」について
- フリー素材
- テンプレート
- オープンソースソフトウェア
これらには必ず利用条件(ライセンス)があります。
つまり「無料=自由」ではありません。
商用利用可否、改変可否、再配布制限などを確認せずに使うと、
著作権侵害になる可能性があります。
AI生成物と著作権の注意点
生成AIで作った画像や文章については、
人の創作的関与がない場合、原則として著作権は発生しないと考えられています。
つまり、
- 自社が独占できるとは限らない
- 他者も似たものを使える可能性がある
という前提があります。
ただし、ここで別のリスクもあります。
AIはインターネット上の膨大な情報を学習していますが、
どの情報をどのように参照しているかはブラックボックスです。
そのため、
- 既存作品に類似していないか
- 実在人物に似ていないか(肖像権)
- 商標やキャラクターに類似していないか
といった確認が必要です。
「AIが作ったから安全」とは限りません。
できるだけそのままの使用は避け、
人間による編集・加工などの工程をはさみ独自性を高めることで、リスクは下げられます。
AIは便利な道具ですが、日々進化している反面、法整備が追い付いていないのも事実。
最終責任を負うのは利用する側です。
外注制作と著作権の帰属
デザインや開発を外部に委託した場合、
契約で著作権譲渡が明記されていなければ、原則として制作者に帰属します。
帰属が曖昧なままでは、
- 改修できない
- 再利用できない
- 二次展開できない
といった経営リスクにつながります。
肖像権【個人のプライバシーを守る】
肖像権とは
自分の顔や姿を無断で撮影・公開・使用されない権利です。
保護できるもの
- 全ての人の顔と姿
肖像権侵害が成立する主な条件
- 個人が特定できるか(解像度・サイズ)
- 撮影場所(自宅内か、公道か)
- 撮影・利用の目的(報道か、営利か)
街中で撮影した写真でも、特定可能な状態の人物が写っていれば
広告利用には本人の許諾が必要な場合があります。
制作において注意が必要な場面
- 制作物に人物写真を使う場合、必ず書面での許諾を得るのが原則。(屋外撮影時は要注意)
- フリー素材であっても規約の確認は必要。(著作権についても同様)
- AI生成による人物画像についても、そのままの使用は危険。
※「撮れた」ではなく「使ってよいか」が重要です。
トラブル回避のための対策
「こんなんじゃ怖くて何も作れない…」と委縮してしまいそうな人のために
最低限ここだけでもおさえておくべきポイントをまとめました。
ポイントは大きく3つ。
①商標はきっちり確認!
ロゴや商品案を出す前にまずは特許庁HP等で類似商標がないか?を必ずセルフ検索を。
加えてgoogle検索でも類似品チェックまでやっておけばさらに安心。
②規約は読み込め!
「フリー」だからといって全て自由というわけではなく
有償で購入したからといってなんでもありというわけでもない。
都度、利用規約を読むのはマスト。
③許諾の徹底!
特定可能な人物画像等を使うときはモデルリリース(使用許諾書)や契約書の有無を確認。
不安な時は勝手に判断しない。
「クライアントがOKと言った」
「皆使ってる」
「参考にしただけ」
「ネットで拾った」
これらは全て法的には無意味な言い訳。
最悪の事態にならぬよう
対策はしすぎておいて損はありません。
「知らなかった」では済まされない事にもなりかねないので
日頃から意識を高めておきましょう。
まとめ
商品開発も、Web制作も、ブランド構築も。
それはすべて「表現」を社会に出す仕事です。
その表現を支えるのが、
- 商標権
- 著作権
- 肖像権
という三本柱。
AI時代においても、この構造自体は変わりません。
ルールを理解することは、創造性を制限することではありません。
むしろ、安心して挑戦するための前提条件です。
モノづくりや商品販売に関わるすべての人にとって、
権利リテラシーは「専門知識」ではなく
おさえておくべき「基礎知識」。
一見「ややこしそう、難しそう…」と敬遠されがちですが
見方を変え、付き合い方によっては
大切な創作物や作者の名誉を
悪用から守ってくれる頼もしい味方になります
安全な創作活動のためにも
権利とは何か?知っておいて損はありませんよ。
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